糖尿病とは
通常、血液中のブドウ糖は、インスリン(膵臓から分泌されるホルモンの一種で、血液中の糖分を組織に取り込ませ、血糖値を下げる働きをしている)の作用によって細胞に取り込まれてエネルギー源になったり、あるいは脂肪やグリコーゲンという物質に変換され、肝臓や筋肉に蓄えられたりします。
しかし、何らかの理由で血液中のブドウ糖が細胞にうまく取り込めなくなり、血液中にブドウ糖がだぶついてしまった状態――それが糖尿病です。長期にわたり血液中のブドウ糖の過剰な状態が続くと、全身の血管に様々な問題が現れ、糖尿病による合併症、すなわち糖尿病細小血管合併症(網膜症、腎症、神経障害)などを引き起してきます。
糖尿病網膜症とは
糖尿病の三大合併症の一つとして知られ、腎症、神経障害と並び称され、失明につながる恐ろしい病気です。
働き盛りの年代を襲う糖尿病網膜症は中途失明が多く、たいへん厄介です。
糖尿病に罹っている期間が長ければ長いほど発症率も上昇し、血糖コントロールの良くない状態が長期間(5~10年程度)に及ぶと、多くの場合、網膜をはじめとする目の組織にいろいろな症状が生じてきがちです。
糖尿病の患者さんは血糖コントロールに努めるとともに、たとえ目に特別な異常が感じられなくても、定期的に眼科を受診しましょう。
糖尿病の治療目標に関しては、日本糖尿病学会の「熊本宣言2013」を御覧ください。
参考リンク
糖尿病眼学会(一般の方へ)
糖尿病網膜症の検査
眼底検査によって網膜の状態を調べたり、造影剤を注射しながら写真を撮影し、網膜の血管の状態を調べたり、光干渉断層計(眼底に近赤外線を当て、その反射波を解析して、網膜の断層像を描出する装置)によって目の中の状態を調べたりします。
病期に応じた糖尿病網膜症の治療
糖尿病網膜症の病期は、「単純」「増殖前」「増殖」にそれぞれ分けられ、治療法もこの病期に対応して変化してきます。
また、視力低下を引き起こす「糖尿病黄斑浮腫」はすべての病期で起こることがあります。
単純糖尿病網膜症(初期の網膜症)
症状としては、小さな眼底出血や白斑が見られますが、自覚症状はありません。
治療の必要は無いのですが、定期的な経過観察が必要です。3ヶ月に1回程度、受診しましょう。
増殖前糖尿病網膜症(中期の網膜症)
症状としては、小さな眼底出血に加えて、網膜における血液の流れが悪くなります。視力が低下しないことも多く、自覚症状が無い場合もあります。
放置すると増殖網膜症に進行しやすいため、血流不足による酸素・栄養不足に陥った網膜に対してレーザー治療(網膜光凝固術)を行う必要があります。1ヶ月に1回程度の受診を要します。
増殖糖尿病網膜症(進行期の網膜症)
眼内に硝子体出血や増殖膜という線維膜が生じて、それによる難治な血管新生緑内障や牽引性網膜剥離など、様々な病態が引き起こされます。
治療としては、レーザー治療(網膜光凝固術)はもちろん必要ですが、それでも進行を阻止できない場合は、硝子体手術が適応になります。
糖尿病黄斑浮腫とは
網膜の中の視力に関する重要な部分である黄斑部に、網膜の毛細血管から漏れ出た血液・血液成分によってむくみ(浮腫)が生じた状態です。黄斑部にむくみが出てくると、急な視力低下を招くことがあります。発病後早期に浮腫を治せば、視機能の回復、維持が期待できます。
糖尿病黄斑浮腫の治療
糖尿病黄斑浮腫の治療法には、薬物による方法と外科的な方法の二通りがあります。
薬物による治療法には、VEGF阻害薬(血管からの血液・血液成分の漏れを抑える)またはステロイド薬(炎症を抑えてむくみを抑える)による治療があります。網膜や黄斑を傷つけることなく、むくみを抑えることができます。
外科的な治療法には、網膜を焼き固めて水分を溜めないようにするレーザー光凝固術、および目の中の出血を止め、異常な組織を取り除いたり、はがれた網膜を元に戻したりする硝子体手術があります。
どの治療を行うかは、血液成分の漏れ方などによって選択されます。病態によっては、複数の治療法が組み合わせられます。
クリニック概要
(バス番号60番)にて15分
豊郷地区市民センター入り口バス停下車徒歩5分(350m)
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8:45~11:45 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | - |
13:30~17:45 | ○ | ○ | - | ○ | ○ | - | - |