逆さまつ毛
本来なら外向きに生えて角膜(黒眼)には触れないまつ毛(睫毛)が内向きに生え、角膜に当たって刺激し、痛みや痒み、異物感などを生じさせ、また角膜に傷をつくる疾患です。逆さまつ毛は、病態によって眼瞼内反症・睫毛内反症・睫毛乱生症などに分けられます。
眼瞼内反症
眼瞼内反症(がんけんないはんしょう)とは、まぶたが眼球側に折れ返り、そのためにまつ毛が黒目に触れて傷をつけたり炎症を起こしたりする疾患です。眼瞼内反症には、先天性と老人性があります。
先天性眼瞼内反症
眼瞼の皮膚や眼輪筋(がんりんきん)が生まれつき多過ぎることが原因です。成長するにつれて顔がやせてきて治ることもあります。4~6歳頃になっても改善しない場合は、症状の程度によっては手術を考えます。20分程度の糸かけ術(埋没法)や余分な皮膚を少量切除するホッツ(Hotz)法という手術を行います。
老人性眼瞼内反症
瞼の皮膚が相対的に余ってくる(瞼の皮膚や眼輪筋が緩む)ことが原因です。
治療としては、まつ毛を抜き続けてもよいのですが、症状によっては手術が必要です。糸かけ術(埋没法)は短時間で済みますが、再発することがあります。眼輪筋を縫い縮める手術は約40分かかりますが、再発しにくくなります。
睫毛内反症
まぶたの向きは正常なのに、まつ毛だけが眼に向かって生えている状態で、多くは先天性です。軽症なら自然治癒を期待して経過観察を行いますが、症状が強いようならケースに応じて糸かけ術(埋没法)やホッツ(Hotz)法などによって治療します。
睫毛乱生症
眼瞼縁炎など、まつ毛の毛根部の炎症が原因で起こる場合が多く、瞼の向きは正常なのに一部の睫毛(1本~多数)だけが眼球側を向いて生えている状態です。黒目に睫毛が触るので異物感が出たり、視力障害が見られたりします。治療は、局所麻酔をして方向を間違えて生えている睫毛を脱毛(睫毛電気分解)します。
翼状片
白目の表面を覆っている半透明の膜である結膜が、目がしらの方から角膜(黒目の部分)に三角状に入り込んでくる疾患です。結膜には血管が豊富にあり、そのため本来は血管の無い角膜にその結膜が入るため、黒目の部分が充血したように赤く見えるわけです。翼状片は膨れて瘤のようになっていますが、悪性のものではありません。
症状が無ければ放置してもよいのですが、炎症による充血がある場合は、炎症を抑える点眼(ステロイドなど)で治療します。しかし、基本的に点眼治療によって翼状片が退縮することはなく、進行すれば、手術で切除するしかありません。
翼状片の手術について
通常は日帰り手術で行います。手術は角膜に侵入した翼状片の組織を除去する方法で、局所麻酔下に行います。手術時間は術式により多少異なりますが、15~25分程度です。
翼状片は、結膜の下の線維芽細胞が増え過ぎたために起こる疾患です。ですから翼状片を手術で切除しただけでは、時間が経てば、その細胞が再び増殖する可能性が高くなってきます。翼状片の単純な切除のみでは再発率は約50%に及び、しかも多くは手術後3ヶ月以内に再発します。 そのため、翼状片を取るだけでなく、その再発を予防する対策が必要となってきます。通常、翼状片を単純に切除するよりも、切り取った結膜部分に自分の正常な部分の結膜を縫い付けると再発率はかなり下がります。この方法は、結膜弁移植とか自己結膜移植と言われる方法です。自己結膜移植術を併用した場合の再発率は数パーセントですが、若い人(50歳未満)ほど再発率は高いと考えられています。
再発を予防する方法として、手術中にマイトマイシンという抗がん剤を薄めて翼状片を切除した後の結膜にかける方法もあり、重症の翼状片や年齢が若い(50歳未満)場合には、これを併用します。抗がん剤には細胞の異常な増殖を止める働きがありますので、この作用を利用して翼状片の再発を抑えるわけです。
霰粒腫
霰粒腫は、細菌感染を伴わない無菌性の炎症です。マイボーム腺(まぶたの縁にある皮脂腺の一つで、皮脂を分泌し、角膜の乾燥を防いでいる)はまつ毛の生え際近くに開口部がありますが、その開口部が炎症などで詰まることによって起こります。
霰粒腫ができてしまったら毎日数回、温湿布を使って治療します。温湿布により治癒が早まります。治療しなくても1ヶ月ほどで消失することがよくあります。
しかし、しこりが大きくなり、角膜を圧迫する可能性があれば、切開手術をします。手術時間は一般的には5~30分程度です。皮膚は切開しませんので傷跡は残りません。また、局所麻酔をかけて行うので、手術そのものに痛みはありません。
結膜弛緩症
結膜弛緩症はその名の通り、結膜が弛緩した、つまりたるんだ状態です。
そもそも結膜には適度なたるみがあり、上下左右などの眼球運動に耐えられるようになっています。このたるみが平均より強い状態を結膜弛緩症と言います。
たるんだ結膜は下まぶたに沿って存在し、程度が強いときは角膜に乗り上がっていることもあります。慢性の異物感や眼の不快感を覚えておられる方は、一度結膜弛緩症ではないかを診てもらうとよいでしょう。
結膜弛緩症の手術
結膜弛緩症は、弛緩結膜を切除する手術できれいに治すことができます。
手術は局所麻酔下に行い、所要時間は15分程度です。
弛緩結膜を切除した後、糸で縫合しますので、術後は糸による異物感が生じますが、1週間程度で良くなります。術後の充血も1週間程度で消失します。
手術後の傷跡はほとんど残らず、見た目にはわからないくらいです。
クリニック概要
(バス番号60番)にて15分
豊郷地区市民センター入り口バス停下車徒歩5分(350m)
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